大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和44年(あ)1289号 決定 1970年6月01日

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人本人の上告趣意は、単なる法令違反、量刑不当の主張であり、弁護人中込《名前略》尚の上告趣意第一(一)は、判例違反をいうが、事案を異にして本件に適切でなく、同第一(二)(三)は、単なる法令違反の主張であり、同第二のうち憲法三一条違反、判例違反をいう点は、所論指摘の点につき、原判決が起訴されていない事実を認定し、これを実質上処罰する趣旨のもとに量刑の資料に考慮したものとは認められないから、所論は前提を欠き、その余の論旨は、量刑不当の主張であって、いずれも適法な上告理由にあたらない(本件のように、他人にダイナマイトの時限爆発装置を携行させて飛行機に搭乗させ、飛行機もろとも爆破して同人を殺害する目的をもって、ダイナマイト、タイマー、バッテリー等を携行して空港ロビーの便所にはいり、右タイマーにバッテリー、ダイナマイトを連結するなどして時限爆発装置完成のための操作をしているうち、その完成直前誤ってバッテリーの電流をダイナマイトに装置した導火線に通じさせた結果ダイナマイトが爆発し、官に発覚したときは、爆発物取締罰則二条の罪が成立するものと解するのが相当である。)。

よって、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 色川幸太郎 裁判官 村上朝一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例